こんにちは、ゆうです。
大手上場企業の経理部でマネージャーをやっています。
この記事を開いていただき、ありがとうございます。
経理職として私はこれまでに中小企業と大手企業の両方を経験してきました。
その中で、特に強く感じたのが
「人事制度と研修制度の違い」が働き方やモチベーションに大きく影響する
という点です。
今回は、私の体験をもとに、中小企業と大手企業での人事・研修制度の違いや、それが社員にどのような影響を与えるのかについて、実例とともにご紹介します。
すべての企業にあてはまるわけではありませんが、一例として参考になればと思います。
- 事業会社の経理へ転職したい方
- 「中小企業」と「大手企業」の環境の違いを知りたい方
本記事の信頼性

中小企業で感じた「制度の不在」
まず、中小企業での勤務時代。
経理部として日々の業務に集中する一方で、次のような制度の不在に戸惑いを覚えました。
入社時オリエンテーションがない
初日からいきなり実務。
会社の方針や社内ルールについて学ぶ機会がなく、わからないことがあれば先輩に聞くなど現場での解決に頼る場面が多かったです。
人事研修がない
- 人事制度の説明
- コンプライアンス
- 情報セキュリティ
- 評価者研修(マネージャー層向け)
など。体系的な研修がなくOJTが中心でした。
スタッフの目標設定がされない
年度の目標設定がされず、何を目指して仕事をすればよいか不明瞭。
評価の基準も見えないため、やりがいや達成感を得にくい。
人事評価が不透明
昇給・昇格の基準が明文化されておらず不透明。
「何をすれば報われるのか」が分かりませんでした。
以上のことから、同僚たちも同様の不満を抱えており、
「評価されない」「成長できない」といった理由で転職を考える人が後を絶ちませんでした。
こういった環境になる要因のひとつとして、中小企業では「人事部」が存在せず、「総務部」が人事労務まわりを兼任しているケースがあります。
人事制度を設計・運用する余力がないことも背景にあったのかもしれません。
大手企業で一変した「制度の整備」

中小企業から大手企業に転職して、働く環境は一変しました。
制度が整っていることで、働き方の質が格段に向上したと実感しました。
オリエンテーションの体系化
入社初日から複数日にわたって、企業理念、行動規範、経理部の役割まで丁寧に説明されました。
安心して業務に入れました。
人事研修の充実
新入社員研修は当然のこと、中堅向けのリーダー研修、管理職研修まで階層別に整備。
eラーニングや社外研修も豊富に用意されています。
目標設定の制度化
期初に上司と1on1で目標を設定し、中間レビュー・期末評価と段階的に進めます。
コーポレート部門ならではの目標設定の難しさはありますが、
- 自分の目標として何をすべきか
- どの程度の水準で達成すれば評価されるのか
- それは会社にどのような効果をもたらすか
こういった内容を上司とスタッフで、すり合わせていきます。
成果が数値や状態で可視化され、自分の成長と会社への貢献を実感しやすいです。
私もマネージャーとして定期的にスタッフと面談をしていますが、力を入れている部分です。
評価制度の明文化とフィードバックの文化
四半期ごとのフィードバックや1on1がルーティン化され、評価に納得感があります。
頑張ったことが正しく伝わり、報酬にも反映される実感があります。
逆もしかりで、大手企業では「成果」を出せない人は低評価となり、居心地が悪くなります。
残念ながら、実力不足で退職する方も見てきました。。。
大手企業では人事制度上、一人当たりの生産性が高い状態を維持する仕組みになっていました。
中小企業と大手企業の制度の違いとその影響

1. キャリアパスと安心感
比較項目 | 大手企業 | 中小企業 |
---|---|---|
将来の見通し | 等級制度や職能制度でキャリアが明確 | キャリアパスが不明確で将来像が描きにくい |
評価の納得感 | フィードバックが制度化されており納得感あり | 上司の主観に頼る傾向が強く、不透明感がある |
中小企業では「この会社でいつまで働けるのか」と不安を感じる社員も多く、長期的な定着が難しい要因になりがちです。
2. スキルアップと成長機会
比較項目 | 大手企業 | 中小企業 |
---|---|---|
研修制度 | 体系的に整備されており、学びの機会が多い | OJT中心で、教育の仕組みが不十分 |
資格取得支援 | 通信教育補助・外部講座補助あり | 経費が自費での負担が多く、継続しにくい |
大手企業では「育てようとする文化」が根付いており、学ぶ意欲を後押ししてくれます。
一方、中小企業では自発的に学ばないと成長が難しく、モチベーションの維持が課題です。
3. モチベーションと離職リスク
比較項目 | 大手企業 | 中小企業 |
---|---|---|
評価の透明性 | 公平性が高く、頑張りが報われる | 評価基準が不明瞭で不信感が溜まりやすい |
フィードバックの頻度 | 定期的な1on1面談あり | 人事制度の整備運用が追い付かず放置されがち |
中小企業では「誰も見ていない」「何を頑張っても変わらない」と感じることで、意欲の低下や離職につながるケースがありました。
訓練されている大手企業の管理職
大手企業では、管理職向けの人事研修が多く、管理職はマネジメントの訓練を受けています。
私自身も管理職ですが、以下の2点は定期的に研修で確認しています。
- マネジメント層の評価スキル
- 人事制度と経営方針の理解
管理職への指導が、経理部スタッフにとっての働きやすい環境にもつながっていきます。
人事制度は、「企業の成長」と「人の成長」に活かせるもの。
大手企業の管理職では人事研修を通じた訓練により、その意識が浸透していました。
まとめ:制度が「人の成長」を後押しする

すべての企業にあてはまるわけではありませんが、
少なくとも私の体験上では、中小企業と大手企業で、人事制度の整備状況に違いがありました。
制度が整っている環境は、社員の安心感、成長意欲、働くモチベーションを支える大きな土台となります。
今回、中小企業と大手企業の特徴として紹介しました。
経理で働く場合は、ひとつの特徴だけではなく、
- 安定的なキャリア形成を望むなら大手企業
- 裁量やスピード感を重視するなら中小企業
という選択の仕方があると思います。
どちらが「良い・悪い」ではなく、自分に合った環境を見極めることが重要です。
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